保育園・幼稚園・認定こども園等における事故対応

保育中の事故・災害

幼稚園・幼保連携型認定こども園・保育所等(以下「各施設」といいます。)では、保護者の方から大切なお子さんを預かっていますので、当然ながら、お子さんに怪我や事故が発生しないように注意を払って業務にあたることが求められます。
各施設では、園長をはじめとした先生、職員が、子どもたちが怪我をしないよう、事故や災害に遭わないように様々な注意を払いながら、子どもたちが楽しい園生活を送れるよう、日々の業務にあたっていると思います。
しかし、お預かりするのは活発な子どもたちですし、家庭生活とは違った集団生活という面もありますので、完全に防ぐことはできず、不可避的に怪我等が発生してしまうのも実情だと思います。

例えば、外遊びで鬼ごっこ中にお友達とぶつかって負傷、保育室でいすから転倒、走り回っていてつまずいて転倒、遊具(ブランコ、ジャングルジム、鉄棒、跳び箱など)から落下、おもちゃの誤飲、友達とけんか、水遊び・プール中の怪我、園外保育中に切り傷・打撲などの怪我、運動会の練習中に熱中症、お湯でやけどなど、子どもたちの怪我は様々な場面で発生します。

一般的に、怪我や事故・災害の予防対策としては、日々の安全点検及び改善、園舎内の危険箇所をマップ化して把握、子どもの人数確認の徹底、ヒヤリハットの記録、情報共有、チェックリストの活用、緊急時の対応態勢の確認・周知、研修・訓練の実施などが指摘されていますので、各施設で必要な対応がとられていると思います。
他方で、保育は、怪我をさせないことだけが目的ではありませんので、リスク回避を過度に行い過ぎると、子どもたちの健全な発達にかえって逆効果だったり、子ども達が楽しい園生活を送ることが困難になったりといった面もあります。
日頃から、各施設で取っている安全対策・取組等を保護者の方に知っていただくことも重要ですが、各家庭で考え方が違う部分もありますので、様々な機会に、各施設の考える保育理念・運営方針や子どもたちの特性や怪我のリスク等についても保護者の方にも共有していただき、理解を深めていただく必要があります。
そういった意味では、入園前や入園時の説明会での説明、また、子どもたちは成長に応じてリスク要因が変わる面もあるため新年度の説明会での説明、日々の園内生活の報告、連絡等でも、保護者の方とコミュニケーションを深め、関係を構築することが重要です。

統計データ

独立行政法人日本スポーツ振興センターが公表している「学校の管理下の災害[令和3年版]」によると(令和2年(2020)年度データ)、怪我やその発生状況等の概要は以下のとおりです。

【出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター 学校の管理下の災害[令和3年版]】

種類別発生割合・件数

単位:件

幼稚園 幼保連携型
認定こども園
保育所等
骨折 2,427 1,780 4,193
捻挫 877 717 1,879
脱臼 1,741 2,461 6,999
挫傷・打撲 4,475 4,619 11,809
挫創 1,925 1,932 5,563
負傷のその他 2,112 2,238 6,503
関節・筋腱・骨疾患 114 112 301
熱中症 9 9 11
疾病のその他 1,027 1,296 3,637
合計 14,707 15,164 40,895

部位別発生割合・件数

単位:件

幼稚園 幼保連携型
認定こども園
保育所等
頭部 1,372 1,246 3,354
顔部 6,823 7,337 20,533
体幹部 521 389 1,133
上肢部 3,789 3,964 10,230
下肢部 1,842 1,686 4,159
その他 360 542 1,486
合計 14,707 15,164 40,895

災害発生の概況

幼稚園・幼保連携型認定こども園・保育所等では、以下のとおりの整理がされています。
どのような場合に、どのような場所で発生しているか(場合・場所別)については、幼稚園では「運動場・園庭」で、こども園・保育所等では「保育室」で最も多く発生となっています。
そして、どのような遊具などで発生しているか(体育用具・遊具別)については、幼稚園・保育所等では、「すべり台」が最も多く、こども園では、「総合遊具・アスレチック」で多くなっています。
また、どこの怪我が多いか(部位別)については、部位のうち大項目でみると、幼稚園・こども園・保育所等いずれも「頭部」及び「顔部」で全体の6割を占めています。幼稚園では、「眼部」、「歯部」、「手・手指部」に続いて、「頭部」が多く、こども園・保育所では、「眼部」、「肘部」、「歯部」に続いて、「手・手指部」が多くなっています。
さらに、発生のタイミング(時間帯)については、いずれも「10-11時」の時間帯が最も多く発生となっています。

どういった場面でどういった災害(怪我)が発生しているのか、日頃の保育の参考にされてください。

事故発生時の対応

一般的には、以下のような対応をすることになります。
ただし、状況により対応内容や順序は異なります。

事故発生時の責任

保育中に発生した子どもの怪我については、保護者の受け止め方は様々だと思います。
状況をよく理解してくださる方もいれば、園に対して詳細な説明を求める方、厳しい言葉を浴びせる方、賠償を求める方もいらっしゃいます。
子どもたちは怪我をしやすいという特性がありますし、怪我をしてしまったからといってすべての場合に責任が問題になるわけではありませんが、事案によっては誰に責任があるのかが問題となることがあります。
保育中に子どもが怪我をすると、すべての場合に園に責任があるという訳ではありません。

勿論、園、先生、職員が、子どもや保護者に対して道義的に申し訳ないという気持ちを抱くこと、園児や保護者に対してお詫びの言葉を伝えることはありますが、それは道義的な責任の問題ですので、法的な責任があることとは別の問題です。
お詫びの言葉を伝えたからといって当然にすべての責任を認めたことになるものではありません。
これらの点について、保護者の一部の方には誤解があることがあります。
法的な責任(損害賠償責任)が発生するのは、注意義務に違反したと評価される場合です。
そして、この注意義務は、一般的な保育における基準に沿って判断されますので、園や職員の考える基準ではありませんし、怪我をした子どもの保護者の考える基準でもありません。
また、法的な責任があるとしても、賠償すべき損害は、相当因果関係(通常こういった過失があれば通常こういった損害が発生するという関係)がある損害ですので、すべての損害というわけではなく、損害賠償額は、過失の内容や怪我の内容、入院・通院等の治療経過、後遺障害の有無、程度によって異なり、個々の事案の事情によることになります。
しかし、こういったことを、事故後の混乱状況の下で、お子さんの将来に対して不安を抱いている保護者の方に理解をしていただくのは、なかなか困難な場合が多いのも実情だと思います。

保険・共済による対応

子どもたちが怪我をした場合、治療費の負担などが問題となりますが、多くの施設では、独立行政法人日本スポーツ振興センター(通称「スポ振」または「JSC」)の災害共済給付制度に加入しています。
この災害共済給付は、学校、幼稚園、幼保連携型認定こども園、保育所等の管理下における災害に対して、医療費、障害見舞金、死亡見舞金などの給付を行うものです。
なお、この災害共済給付は、園の管理下における災害が発生した場合に要件を満たせば給付があるもので、園に法的な賠償責任があるか否かとは関係なく、給付が受けられます。
この点も、保護者の方には誤解が生じないように説明する必要があります。

独立行政法人日本スポーツ振興センター 災害共済給付
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/saigai/tabid/56/default.aspx

なお、スポ振の災害共済給付が受けられるのに、先に、園や法人が子どもや保護者に対して金銭を支払うと、災害共済給付が受けられなくなる場合がありますので、注意しましょう。

給付の全部または一部が制限されるのは、他の法令の規定による給付等(例:条例に基づく乳幼児医療助成)を受けたとき、災害共済給付の給付事由と同一の事由について、損害賠償を受けたとき、生活保護法による保護を受けている世帯に属する保育所等の児童についての医療費(医療扶助があるため)、非常災害(風水害、震災、事変その他非常災害であって、当該地域の多数の住民が被害を受けたもの)による児童の災害など。

また、民間の保険会社の保険(傷害保険、施設賠償責任保険など)に加入していれば、保険契約の内容により、保険金の給付が受けられる場合もあります。
共済・保険はいざというときのリスクに備えるものですが、どのような場合にどのような給付が受けられるのかについては意外に把握できていないことも多いですので、きちんと確認するようにしましょう。

トラブル発生の場面

園児が怪我をしてしまった場合に、保護者や関係者との間でトラブルになる場面、クレームが発生する場面は様々あります。

  • 怪我をしたことそのものに対するもの
  • 怪我をした後の処置に対するもの
  • 保護者への連絡に対するもの
  • 保護者に対する事故状況等の説明に関するもの
  • お詫びや謝罪に対するもの
  • 賠償・補償に関するもの
  • 再発防止措置に関するもの
  • 不当・過剰な要求・クレーマーに対する対応 など

それぞれの場面に応じて、何が問題になっているのかを適切に把握し、解決を図っていかなければなりません。

相談先

各施設には、怪我・事故・災害が発生した場合、トラブルが発生しそうな場合、トラブルになってしまった場合の相談先として、運営母体の法人、他の園の関係者、市役所・町村役場、保健所など様々な相談先がありますが、各施設側(経営者側)の立場で相談・助言ができる先として、弁護士・法律事務所への相談もご検討ください。
早期の相談と助言・アドバイスによって、円満に解決できる場合もありますし、トラブルを回避して解決ができる場合もあります。また、すでにトラブルになっていても、問題点を整理して保護者の不安を解消する方向の解決策を示すことによりトラブルを激化させずに解決ができる場合もあります。

当事務所では、長年にわたって、幼稚園や保育園をはじめとした、小中学校、高校、大学、各種専門学校などの保育・教育現場の相談を受けて参りました。相談、助言・アドバイスの実績や各施設の代理人として交渉・訴訟対応した実績もありますので、お困りの際は是非ご相談ください。
また、顧問契約を締結し、継続的に相談・助言(アドバイス)といった経営側の後方支援や解決交渉・訴訟対応の代理業務などのリーガルサービスを提供することも可能です。顧問弁護士をお探しの方もお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2022年4月27日に執筆されたものです。記載内容につきましてはその時点の情報をもとに作成されております。また、内容に関しましては、万全を期しておりますが、内容全てを保証するものではありませんのでご了承ください。

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