ご離婚後の手続3(福岡市)

はじめに

当事務所のコラムで,離婚後の手続1(離婚の成立日,離婚届の提出),ご離婚後の手続2(住民票等の異動)と連載してきましたが,今回は福岡市における離婚時に子どもがいる場合に受けることができる支援制度の概要について解説いたします。

なお,離婚の成立日と離婚届の提出についての解説は,当事務所コラムのご離婚後の手続1に,住民票の異動等につきましては,当事務所コラムご結婚後の手続2に記載しておりますので,併せてご参照下さい。

児童扶養手当

児童扶養手当

両親が離婚した場合(事実婚も含む)には,児童(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者又は20歳未満で障害の状態にある者をいいます,児童扶養手当法3条1項)を監護しているひとり親家庭等の母または父または養育者は,原則として児童扶養手当の支給を受けることができます。

なお,婚姻の届出はして無くても,事実上の婚姻関係(内縁関係など)があるときや,国内に住所がない,一定以上の所得がある場合などには,手当の受給はできません。
支給額は下記の表のとおりです。

支給額(平成31年4月分以降)
児童1人目 児童2人目 児童3人目以降
全部支給 42,910円 10,140円 6,080円
一部支給 42,900円~10,120円 10,130円~5,070円 6,070円~3,040円

所得に応じて支給額が変わります。

所得制限については,以下のとおりです。

扶養親族等の数 受給資格者本人(を除く) 孤児等の養育者(
配偶者
扶養義務者
全部支給 一部支給
0人 490,000 1,920,000 2,360,000
1人 870,000 2,300,000 2,740,000
2人 1,250,000 2,680,000 3,120,000
3人 1,630,000 3,060,000 3,500,000
以降1人につき 380,000加算 380,000加算 380,000加算

JR通勤定期乗車券の割引

福岡市では,児童扶養手当受給世帯は,3割引でJR通勤定期乗車券を購入することができます。

申請に必要なもの

  • 定期券を購入する人の写真(最近6ヶ月以内に撮影したもの,正面上半身,縦4㎝✕横3㎝)
  • 児童扶養手当証書
  • 印鑑

住宅に関する制度

市営住宅の優遇制度

福岡市では,年4回(5月,8月,11月,2月)に抽選で入居を決定する「定期募集」ということを行っており,抽選優遇制度が設けられています。
また,ひとり親世帯など,特定の要件を満たす場合には,随時申込を受付,対象住宅に空き家が出た段階で受付順に入居を決定する「随時募集」の申込もできることとなっています。

母子生活支援施設

18歳未満の子どもを養育している母子家庭等のお母さんが,生活上の問題などのために,子どもの養育を十分にできない場合に,子どもと一緒に入所できる施設です。
施設では,相談などを踏まえて,生活,教育,就職などの支援を受けることができます。

ひとり親家庭等医療証の手続

ひとり親家庭等医療費助成制度

離婚をした場合,一般的に子どもは父母のどちらかと暮らすことになりますが,母子家庭の母および児童,父子家庭の父および児童,父母のない児童に対して,一定の所得額未満の人に医療費の助成が行われています。なお,本助成における児童とは,児童の18歳の誕生日前日以後最初の3月31日までの間にある者をいいます。

助成を受けることができる人(福岡市の場合)

市内在住であり,健康保険に加入していること,及び次のいずれかに該当することが必要とされています。

  1. 母子家庭の母および児童
  2. 父子家庭の父および児童
  3. 父母のない児童

児童の18歳の誕生日前日以後最初の3月31日までが対象とされています。本助成は,婚姻している夫婦の一方の母または父が一定の障がいの状態にある場合も支給されます。
なお,下記の要件に当たる人は,助成を受けることができません。

  1. 生活保護を受けている人
  2. 小学校就学前の乳幼児で,子ども医療の助成を受けることができる人(福岡市には,中学生までを対象とした子ども医療費助成制度(市内に在住し,健康保険に加入しているすべての子どもが対象)があります)
  3. 前年(1月から9月までの申請の際は前々年)の所得(一定の控除を差し引いた額)が一定額(児童扶養手当の一部支給に準拠,上記表参照)以上の人
  4. 婚姻の届出をしていなくても、事実上、婚姻関係と同様の事情にある場合

申請に必要なもの

  • 健康保険証(対象者の名前の記載があるもの)
  • 戸籍謄本
  • 所得証明書(市外から転入した人は前住所地の市町村発行の所得証明書)
  • 児童扶養手当証書または遺族基礎年金証書
  • その他必要書類(区役所窓口にお尋ねください)

仕事関係について

マザーズハローワーク天神

子育て中のひとり親及び女性であれば誰でも利用できる施設です。
場所は,福岡市中央区天神1丁目4-2エルガーラオフィスビルの12階にあります。
職業相談や,紹介,その他の支援などを受けることができます。

福岡市ひとり親家庭支援センター(職業支援)

職業の適性や就業へ向けた意欲の形成など,それぞれの家庭の状況や就業経験になどに応じた就業相談員がアドバイスをする就業相談,就業に結びつく可能性の高い資格を取得し,技能を習得できることを目指して開催される就業支援講習会(例えば,パソコン講座や,ワード・エクセル講座,秘書検定や医療事務講座など),求人状況の提供を行う職業支援サービスなど,就業につながる支援を受けることができます。
場所は,福岡市中央区大手門2丁目5番15号にあります。

その他にも,

  • 高等職業訓練促進給付金
  • 高等職業訓練促進資金貸付制度
  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業

などの支援があります。

子どもの学費等

給食費・学用品費などの援助(就学援助)

ひとり親家庭などで,児童扶養手当を受けている人や,市民税や非課税又は減免の適用を受けている方などは,給食費や学用品代など,学校での学習に必要な費用の援助を受けられる場合があります。

高校生への修学支援制度(就学支援金制度等)

  • 高等学校等就学支援金
    ⇒公立高校では,全日制は月額9,900円,定時制は月額2,700円,通信制は月額520円です。
    私立高校では,全日制・定時制・通信制ともに月額9,900円です。単位制の場合は支給額が異なります。
  • 私立高校の授業料軽減
    ⇒収入に応じて,就学支援金が500円~最大35,150円の支援がなされます。
  • 高校生等就学給付金制度
    ⇒生活保護受給世帯や非課税世帯を対象に,教育費を支援する制度です。

奨学金等

高校,専門学校,大学進学の際に,受けることのできる奨学金等があります。

  • 独立法人日本学生支援機構
  • 公益財団法人 福岡市教育振興会
  • 公益財団法人 福岡県教育文化奨学財団
  • 日本政策金融公庫

その他貸付制度等

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

修学資金,医療介護資金,生活資金,住宅資金等に充てるための無利子貸付制度があります。
対象者は

母子福祉資金の場合

  1. 母子家庭の母(配偶者のない女子で、現に児童を扶養しているもの)
  2. 母子家庭の母が扶養している児童(20歳未満)
  3. 父母のいない児童(20歳未満)

父子福祉資金の場合

  1. 父子家庭の父(配偶者のない男子で、現に児童を扶養しているもの)
  2. 父子家庭の父が扶養している児童(20歳未満)

寡婦福祉資金の場合

  1. 寡婦(配偶者のない女子で、かつて母子家庭の母であったもの)
  2. 寡婦が扶養している子(20歳以上)
  3. 40歳以上の配偶者のない女子であって、母子家庭の母及び寡婦以外のもの

とされています。

最後に

離婚後の子育てに対する支援制度は色々と用意されています。
ですが,それぞれの支援制度には,いろいろと手続が必要とされており,また,そもそも,どのような制度があるかについてもなかなか全てを把握することは難しいと思います。
せっかく受けることができる支援についても,知らなければ申請ができず,支援を受けることができないことになってしまいます。
そして,支援制度は,ほとんど自分で申請することが求められています。
離婚して,子どもを育てて行くうえでは,どの制度も非常に強い味方になってくれるものです。
まずは,どのような支援があるかをしっかりと確認して,忘れずに申請をするようにしてください。
また,住んでいる自治体によって制度の内容が異なる場合がありますので,注意が必要です。
同様の制度がないか,お住まいの自治体に確認するようにして頂ければと思います。
今回は,平成31年4月時点における子育ての援助制度について解説しました。
なお,制度や援助の金額などは,年々改定がなされますので,最新の情報を確認するように気をつけてください。
詳しくは,各市町村のホームページなどをご確認ください。

本コラムは令和1年7月23日に執筆されたものです。記載内容につきましてはその時点の情報をもとに作成されております。また、内容に関しましては、万全を期しておりますが、内容全てを保証するものではありませんのでご了承ください。

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