離婚前に必ず確認したい「取決め事項チェックリスト」|後悔しないための離婚準備

離婚を決意したものの、何から手をつければいいか分からない、という方は少なくありません。

離婚後の生活で後悔しないためには、感情的に事を進めるのではなく、事前に決めておくべき重要な「取決め事項」を法的な観点から冷静に整理することが不可欠です。

この記事では、離婚前に必ず確認しておきたい取り決め事項をチェックリスト形式で分かりやすく解説します。子ども、住まい、お金といった重要なポイントを押さえ、新しい一歩を安心して踏み出すための準備を始めましょう。

1.離婚前に「何を決めるべきか分からない」という不安は多い

離婚は単に戸籍を別にする手続きではなく、夫婦関係全体を清算する重要な契約でもあります。

「一刻も早く離婚したい」という気持ちが先走り、子どもやお金のことなど将来に関わる大切な取り決めを十分にしないまま離婚してしまうケースは後を絶ちません。その結果、「こんなはずではなかった」と後悔する方も少なくないのです。

離婚後の生活を安定させ、お互いが新たなスタートを切るためには、焦らず話し合う時間を設けることが大切です。場合によっては一度別居して冷静に考える期間を置くのも有効でしょう。

離婚届を提出する前に、最低限以下の項目については話し合い、取り決めをしておくことを強くおすすめします。

お金と財産に関すること

  • 財産分与
  • 年金分割
  • 慰謝料

子どもに関すること(未成年の子どもがいる場合)

  • 親権者
  • 養育費
  • 面会交流

2.【完全版】離婚前に整理すべき「お金と財産」の取り決め

離婚後の生活基盤を築く上で、お金と財産の問題は避けて通れません。感情的な対立が生まれやすいテーマですが、法的なルールに沿って冷静に話し合いを進めることが将来のために不可欠です。

① 財産分与: 共有財産の洗い出し方法と、特有財産との違い。

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚の際に公平に分け合う制度です。対象となるのは預貯金、不動産、自動車、保険、有価証券など、夫婦が協力して得た「共有財産」です。

重要なのは、財産の名義が夫または妻の一方になっていても、婚姻期間中に得られたものであれば、実質的には共有財産とみなされる点です。名義ではなく、実質で判断されます。たとえば、夫の給料から積み立てた預金や、妻がパートで稼いだお金で加入した保険も対象となります。

一方、結婚前から各自が持っていた財産や親から相続した財産などは「特有財産」と呼ばれ、特有財産の特定性の問題はありますが、原則として財産分与の対象になりません。

財産形成への貢献度は、収入を得るための労働だけでなく、家事や育児といった家庭への貢献も含まれるため、原則として夫婦それぞれ2分の1ずつとされています。これを「2分の1ルール」と呼びます。

関連リンク:財産分与とは?

② 年金分割: 「合意分割」と「3号分割」の違いと手続きの期限。

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金(または旧共済年金)の保険料納付記録を夫婦間で分割する制度です。これにより、専業主婦(主夫)など自身の厚生年金加入期間が短い方でも、離婚後に相手の年金の一部を受け取ることができます。

ただし、対象となるのは厚生年金の報酬比例部分のみで、国民年金(基礎年金)や国民年金基金などは対象外です。

年金分割には、夫婦の合意または裁判手続きによって分割割合を決める「合意分割」と、2008年4月1日以降に国民年金の第3号被保険者(会社員や公務員の配偶者)であった期間について自動的に2分の1の割合で分割される「3号分割」があります。

手続きには期限があるため、早めに年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得し、ご自身の状況を確認することが重要です。

関連リンク:離婚 年金分割とは?

③ 慰謝料: 請求できるケース(不貞・DV)と相場、証拠の重要性。

慰謝料とは、相手の不法行為(不貞行為やDV・モラハラなど)によって離婚に至り、精神的な苦痛を受けたことに対する損害賠償金です。離婚するすべてのケースで請求できるわけではありません。賠償義務が発生するレベルの違法行為を行った(離婚原因を作った)「有責配偶者」に対して請求するものです。

慰謝料の金額は、法律で一律に決まっていません。有責行為の性質、期間、頻度、精神的苦痛の度合いなど様々な事情を考慮して算定されます。

慰謝料を請求するには、相手の有責行為を客観的に証明する証拠(メールやSNSのやり取り、写真、診断書など)が極めて重要になります。感情的に相手を責めるだけでは法的な請求として認められることは困難です。証拠収集に不安がある場合は早めに弁護士に相談することをおすすめします。

④ 住宅ローンと住まい: どちらが住むのか、名義変更や売却の判断基準。

持ち家があって住宅ローンが残っている場合、その扱いは離婚時の大きな課題となります。財産分与の一環として、どちらが家を取得するのか、どちらが家に住み続けるか、住宅ローンの名義人と支払をどうするか、家を売却する場合の売却益(または損失)をどう分けるかなど、慎重に検討する必要があります。

特に、家の名義が共有、住宅ローンが夫婦ペアローン、家の名義と住宅ローンの名義が異なる場合や、一方が連帯保証人(連帯債務者)になっている場合は問題が複雑化します。住宅ローンの名義変更には金融機関の承諾が必要で、簡単には認められないことも少なくありません。

売却するにしても、売却方法や時期、どちらかが退去するタイミングなどを詳細に決めておく必要があります。安易な口約束は避け、弁護士などの専門家も交えて慎重に話し合うのがよいでしょう。

関連リンク:離婚後の手続き

3.【子連れ離婚】子どもの未来を守るための必須事項

未成年の子どもがいる夫婦が離婚する場合、何よりも「子の利益」を最優先に考えなければならないと法律で定められています(民法766条1項)。親の都合や感情的な対立で子どもの将来に不利益が生じないよう、冷静かつ慎重に以下の事項を取り決める必要があります。

① 親権者の指定: 判断基準と、子どもの福祉の考え方。

親権とは、子どもの利益のために子どもの世話や教育(監護教育)をしたり、子どもの財産を管理したりする親の権利であり義務です。

婚姻中は父母が共同で親権を行使しますが、離婚する際には父母のどちらか一方を親権者として定めなければなりません。親権者が決まっていなければ離婚届は受理されません。

親権者を決める上で最も重要な判断基準は、どちらの親と暮らすことが「子どもの利益(福祉)」につながるかという点です。これまでの監護実績、子どもの年齢や意思、心身の状況、父母双方の経済力や健康状態などが総合的に考慮されます。

父母の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の調停や裁判で決めることになります。

関連リンク:親権者の指定

② 養育費: 算定表の考え方、支払期間、大学進学時の費用。

養育費は、子どもが社会的に自立するまでに必要となる生活費、教育費、医療費などの費用です。離婚して親権者でなくなっても親であることに変わりはなく、子どもを扶養する義務は続きます。そのため子どもを監護していない親は、監護している親に対して養育費を支払う義務があります。

養育費については、以下のことを具体的に取り決めておきましょう。

  • 毎月の支払額
  • 支払期間(いつまで支払うか。例:満20歳まで、大学卒業までなど)
  • 支払日と支払方法(毎月何日、振込先口座など)
  • 特別な出費をどうするか(大学進学時の入学金や授業料、病気やケガによる高額な医療費など)

実務では、父母双方の収入に基づいて養育費の目安を算出した「養育費算定表」が広く利用されています。

関連リンク:養育費支払の実効性確保

③ 面会交流: 頻度、方法、連絡手段の具体的な決め方。

面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が子どもと定期的・継続的に会って話をしたり、一緒に時間を過ごしたり、手紙や電話などで交流することです。

面会交流は、親のための権利という側面もありますが、それ以上に子どもが両親から愛されていると感じ健全に成長していくために非常に重要であると考えられています(子の福祉)。

特別な事情がない限り(暴力や虐待など会わせることが子どもの利益に反するような事情)、面会交流は実施されるべきとされています。

後々のトラブルを避けるため、以下のことを事前に定めておくとよいでしょう(どこまで詳細に決めるべきかは個々の事情によります。)。

  • 頻度(例:月1回、2ヶ月に1回など)
  • 1回あたりの時間や方法(例:毎月第2土曜日の10時から17時まで、夏休みに宿泊を伴う交流を行うなど)
  • 子どもの受け渡し方法、連絡方法(例:父母間の連絡はメールやLINEで行うなど)
  • 学校行事への参加の可否

関連リンク:子どもとの面会交流

④ 名字と戸籍: 離婚後の子どもの氏をどうするか。

離婚すると、婚姻時に氏(名字)を変えた側は原則として旧姓に戻ります。しかし子どもの氏は自動的には変わらず、離婚前の戸籍(親権者でない親の戸籍)に残ったままです。

親権者となった親が旧姓に戻り、子どもも同じ氏を名乗りたい場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」の申立てを行い、許可を得る必要があります。この手続きをしないと親子で名字が異なる状態になります。

離婚後の子どもの氏と戸籍をどうするかについても、子どもの学校生活などへの影響も考慮し、事前に話し合っておく必要があります。

関連リンク:子どもの氏の変更と戸籍

4.【ケース別】注意が必要な離婚準備のポイント

離婚の事情は、個々の夫婦それぞれ異なります。ここでは、特に注意が必要となるケース別の準備ポイントを解説します。

熟年離婚: 退職金や将来の介護、長年の家計管理が不透明な場合の対処法。

婚姻期間が長い熟年離婚の場合、財産分与の対象となる財産が多岐にわたり評価が複雑になる傾向があります。

特に、将来支払われる予定の退職金や企業年金も、婚姻期間に対応する部分は財産分与の対象となり得ます。しかし、相手が財産の内容を正確に開示しないことも少なくありません。

そのような場合は、離婚調停の中で裁判所を通じて相手に財産の開示を求めたり、「調査嘱託」という手続きを利用して勤務先や金融機関に照会したりする方法があります。長年の家計が不透明な場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。

関連リンク:熟年離婚に特有の問題

専業主婦(主夫)の離婚: 当面の生活費(婚姻費用)の請求と自立への支援制度。

婚姻期間中、専業主婦(主夫)として家庭を支えてきた方は、離婚後の経済的な自立に大きな不安を抱えることが少なくありません。

まず知っておきたいのは、離婚が成立するまでの間(別居中など)は、収入の多い側に対して生活費(「婚姻費用」)を請求できるということです。

また、離婚時の財産分与においても、夫婦で築いた財産の清算的な分与だけでは離婚後の生活が困窮するおそれがある場合には、自立するまでの一時的な生活を支える意味合いで「扶養的財産分与」が考慮されることもあります。

離婚後の生活を見据え、公的な支援制度の活用も視野に入れながら当面の生活費をどう確保するかを計画的に考えることが重要です。

関連リンク:福岡市の支援制度

相手が話し合いに応じない場合: 調停や裁判への移行のタイミング。

離婚そのものや財産分与、養育費などの条件について相手が話し合いに一切応じない、あるいは話し合いが平行線で進まないというケースも多くあります。このような状況に陥ると、当事者間での解決は困難となります。

次のステップとして、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てる方法があります。調停は、家庭裁判所で調停委員という中立な第三者を介して話し合いを進める手続きです。

あくまで話合いの場なので、ここでも合意に至らない場合は最終的に「離婚訴訟(裁判)」を提起し、裁判官に判断を委ねることになります。訴訟を見据え相手の有責行為の証拠などを事前に準備しておくことも重要です。

関連リンク:離婚調停の申し立ての方法
関連リンク:離婚訴訟の手続きの方法

5.決めたことを「絵に描いた餅」にしないための法的対策

せっかく時間をかけて取り決めた内容も、それが実行されなければ意味がありません。約束を確実に守らせるための法的な対策を知っておきましょう。

口約束の危険性: 「払うと言ったのに払われない」トラブルの回避。

離婚時の取り決めを口約束だけで済ませてしまうのは非常に危険です。後になって、「言った、言わない」の水掛け論になったり、相手が約束を無視して支払を滞らせたりするトラブルは頻繁に発生します。

養育費や慰謝料、財産分与などの金銭的な約束はもちろん、面会交流のルールなど合意した内容は必ず書面に残しておくことが将来の紛争を防ぐための第一歩です。この書面は「離婚協議書」などと呼ばれます。

公正証書の作成: 公正証書にするべき項目。

合意内容をより強力なものにするためには「公正証書」を作成することをおすすめします。公正証書は公証人が作成する公的な文書であり高い証明力を持ちます。

特に、養育費や慰謝料、財産分与の分割払など将来にわたる金銭の支払に関する取り決めについては公正証書にしておくべきです。

その際、公正証書に「強制執行認諾文言」という条項を入れておけば、もし相手の支払が滞った場合、裁判を起こすことなく直ちに相手の給与や預貯金などを差し押さえる「強制執行」の手続きが可能になります。この点が当事者間で作成する離婚協議書との大きな違いであり、公正証書の最大のメリットです。

弁護士に依頼するメリット: 交渉の代理、必要な資料収集、妥当な金額の算出、書類作成の正確性。

離婚問題を当事者だけで解決しようとすると、感情的な対立から話し合いが進まなかったり、法的に不利な条件で合意してしまったりするリスクがあります。弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットが期待できます。

相手との交渉を代理してもらえるため、精神的な負担が軽減され、冷静になって話合に臨むことが期待できます。また、法律・裁判例、経験に基づき法的に妥当と思われる条件を算定してもらえるため、財産分与や養育費などについて合理的な根拠に基づいた適正な金額を主張できます。

さらに、必要な証拠や手続きについてアドバイスがもらえ、調停や裁判に移行した場合の見通しを立て、先を見越した準備ができます。離婚協議書や公正証書などの書類を正確に作成してもらえるため、将来のトラブルを防ぐ法的に有効な書面を作成できます。

特に、以下のような状況にある方は、お一人で悩まず一度弁護士に相談することをおすすめします。

  • 離婚の条件について相手と話し合いが進まない
  • 相手が財産の内容を開示してくれない
  • 相手から提示された条件が妥当か分からない
  • 離婚後の生活に経済的な不安がある

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